梵鐘の知識
頂上に竜頭があり、ここで鐘を下げる。竜頭と云うのは俗称で蒲牛(ほろう)と云うのが正しいとされている蒲牢は竜の九子の一で鯨が蒲牢を打つと蒲牢が大きな声を出して鳴くと云う伝説に依り、打たれて大音を発するとう云ので、蒲牢を附すのだと云はれている。竜頭の下が笠形と云ひ、その下の所で乳のある知形の場所を乳の間と云ひその下を他の間、又は池の町と云う。銘文等ここに表される場合が多い、文字をいけ込む事から起つた名称であろうと云はれている。その下の横に細長い
場所には、種々の唐草模様が描かれる事が多いので草の間と云う。乳の間、池の間、草の間を区画しながら二本づつ走つている線を紐と云ひ、紐に依つて区画された帯状の部分の内、横のものを横帯、縦ものを縦帯と云ふ。横帯には上帝、中帯、下帯の三つがあり、縦帯は九十度を隔てて一つづつ合計四つある。撞木で打つ場所を撞座と云ひ、両側に各一個計二個あり、八葉楽の蓮弁である場合が多いので八葉とも云ふ。鐘の最下端は特別な膨みを持つており、その切口が似ている処から駒の瓜と云う、叉玉縁とも云はれる。又これ以外に乱の無いものや、上帯の無いもの等あり、稀にほ紐の全く無いものもある。
撞木について
鐘と撞木と完全に適合していないと本当に良い音は出ないと云う事は申すまでもない事ですが、打撃音を美しくする為には、松檜などが最も良い様である。参考迄に後の頁に撞木の大きさ等記しましたが、梵鐘の重さの約二十分の一位が適当と云はれています。
尚撞木は綱で吊るとすぐ緩みが来て撞座の下方を打つ様になるので、これを避ける為に鉄の鎖を使つた方が宜しい。
梵鐘寸法と重量並びに撞木標準寸法